ゴムボート搭載用
大きな船が入れない浅い水域で、水底の地層を乱さずに採る
小型ピストンコアラーは、AGSが独自に開発した柱状採泥器(水底に筒を打ち込み、地層を柱の形のまま採る装置)です。ゴムボートに載せて使うため、調査船が入れない浅瀬でも採泥できます。分解して一般の車両で運べます。
浅瀬には調査船が入れない
採泥に使う船は重く、喫水(船が水に沈む深さ)も深くなります。湖の岸近くや河川の浅い区間では、船が近づけず採泥地点を確保できないことがあります。
山間のダム湖・ため池に機材を運び込めない
クレーンやスロープが使えない現場では、大型の採泥設備を水面に降ろせません。人の手で運べる大きさの装置が必要です。
表層だけでは、堆積の経過がわからない
水底の表面をすくう採泥では、地層の重なりが崩れます。いつ・どのような土砂が溜まったかを調べるには、層を乱さない柱状の試料が必要です。
ゴムボート搭載用 小型ピストンコアラー
ピストンコアラーは、筒の中に入れたピストンで試料を吸い上げるように保持しながら、筒を水底に押し込む採泥器です。試料が筒の中で縮んだり抜け落ちたりしにくい仕組みです。役割は「浅い水域での、層を乱さない柱状採泥」です。
小型ピストンコアラー本体
主ウエイト(おもり)の下にピストンコアラーを取り付け、水底の直上から自由落下させて水底に押し込みます。水底面から数十cm〜1mの長さで、泥・砂泥などの地層を乱さずに柱状で採取します。
- 一般的なピストンコアラーより小型の設計(AGS独自開発)
- 柱状試料・粒度組成試料・底質判別試料の3種類を採取
- 層ごとに分けて分析するための試料採取に対応
- 主ウエイトはケースに収めた複数のおもりで構成し、1つずつ取り外し可能
- 分解でき、大人2人で組み立て可能
採泥用ゴムボート(特許第5300611号)
ゴムボート(インフレータブルボート)の上に作業デッキを設け、櫓(やぐら)とウインチでコアラーを吊り下げる構造です。通常の調査船より大幅に軽く、浅瀬を航行できます。
- 従来の船では入れなかった浅瀬での採泥に対応
- 分解して一般の車両で運搬可能
- クレーンが使えない現場でも、人の手で水面に降ろせる
- 「採泥用ボート及び採泥装置」として特許を取得
主な適用対象と調べられること
ダム湖・貯水池・湖沼
- 堆積物の層の重なりと厚さ
- 層ごとの粒度(粒の大きさの分布)
- 堆砂(溜まった土砂)の性状
河川
- 河床堆積物の性状
- 浅い区間の底質区分
- 土砂の溜まり方の確認
浅い海域・漁場・汚泥域
- 底質の区分(泥・砂泥などの分布)
- 漁場環境の調査用の試料
- 汚泥が溜まった水域の底質
小型ピストンコアラーの仕様
採泥装置と、搭載するゴムボート・運用に分けて示します。
採泥装置
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 形式 | ピストンコアラー(柱状採泥器)、AGS独自開発 |
| 採取方式 | 主ウエイトの下に付けたコアラーを水底の直上から自由落下させ、水底に押し込んで採取 |
| 採取長 | 水底面から数十cm〜1m |
| 対象とする底質 | 泥・砂泥など |
| 採取できる試料 | 柱状試料・粒度組成試料・底質判別試料 |
| 主ウエイト | ケースに収めた複数のおもりで構成(個別に取り外し可能) |
搭載ボート・運用
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 搭載ボート | ゴムボート(インフレータブルボート)に作業デッキを設置 |
| 吊り下げ方式 | 櫓(やぐら)とウインチでコアラーを吊り下げ |
| 運搬 | 分解して一般の車両で運搬可能 |
| 組立て | 大人2人で組立て可能 |
| 知的財産 | 特許第5300611号「採泥用ボート及び採泥装置」 |
調査の進め方
調査の目的、採泥地点の数、必要な分析項目を伺います。既往の底質調査や測量成果があれば、地点の選び方もこの段階で決めます。
搬入経路、ボートを降ろせる岸、水深、水草や沈木の状況を確認します。ピストンコアラーが向く底質かどうかも、ここで判断します。
採泥地点、作業時間、中止基準を計画書にまとめます。河川・ダムの管理者や漁協との調整が必要な場合は、事前に行います。
地点の位置を記録し、コアラーを水底に押し込んで採取します。試料の長さと状態をその場で確かめ、不十分なら採り直します。
試料の外観を観察・撮影し、層ごとに分けます。粒度などの分析を行います。
地点ごとの記録、試料の写真、分析結果を報告書にまとめます。採れなかった地点や短かった試料は、その理由とあわせて記載します。
調査可能な条件・制約
小型ピストンコアラーは、浅い水域の軟らかい堆積物に向く装置です。向かない条件では、他の採泥方法をご提案します。
適する対象・目的
- 泥・砂泥など、軟らかい堆積物の柱状採泥
- 湖沼・ダム湖・河川・浅い海域
- 調査船が入れない浅瀬、搬入路が狭い山間の水域
- 層を乱さずに採り、層ごとに分析したい調査
- 音響測深機で作った底質区分図を、実際の試料で確かめる調査
適用しにくい条件
- 礫(れき:小石)・岩盤・よく締まった砂の水底。筒が刺さりにくく、試料が抜け落ちやすくなります
- 水底面から1mより深い地層の採取
- 水深1m未満の極めて浅い場所、または適用水深を超える深い場所
- 流れが速い区間や、強風・波浪がある水面(ゴムボートの安定が保てないため)
- 水草・沈木が密集し、コアラーが水底に届かない場所
- 表層の試料だけを多数の地点で採る調査(表層用の採泥器の方が効率的です)
成果品
お渡しするのは、堆積の状況や底質の分布を判断するための試料の記録と分析結果です。
- 採泥地点の位置図と座標一覧
- 柱状試料の写真(全体と層ごとの拡大)
- 柱状図(深さごとの土質・色・層の境界を記録した図)
- 粒度組成の分析結果(砂・シルト・粘土などの割合)
- 底質区分の結果と、音響測深による底質区分図との照合結果
- 採泥できなかった地点・短かった試料の記録を含む報告書
- 採取した試料そのもの(ご希望に応じて引き渡し)
小さな船だからこそ、作業の安全と試料の品質を守る
安全管理
ゴムボートは風や波の影響を受けやすいため、計画書で風・波・流れの中止基準を定めます。乗船者は救命胴衣を着用し、おもりの吊り上げ・吊り下ろしは手順を決めて行います。
試料の品質
筒を押し込んだ長さと、採れた試料の長さを比べ、試料の縮みや抜け落ちがないかを確かめます。試料には上下と地点番号を記し、乱さないように運びます。
採れなかった地点の扱い
硬い水底などで十分な長さが採れない場合は、地点を少しずらして採り直します。それでも採れない地点は、その事実と理由を報告書に記載します。
想定される活用場面
小型ピストンコアラーの特性が活きる典型的な場面です。
ダム湖・貯水池の堆積物調査
クレーンが入らない山間の貯水池に、ゴムボートと装置を分解して搬入。複数地点で柱状に採泥し、堆積物の層の重なりと粒度を調べます。
音響測深の底質区分を確かめる
音響測深機で作った底質区分図をもとに、代表地点で採泥。実際の試料と照らし合わせて、区分図の確からしさを確認します。
漁場・汚泥域の底質調査
岸近くの浅い漁場や、汚泥が溜まった水域で採泥。泥・砂泥の分布と層ごとの性状を記録し、環境の変化を調べる基礎資料にします。
よくあるご質問
表層用の採泥器は、水底の表面の土砂を広くすくい取ります。地層の重なりは崩れます。ピストンコアラーは筒を押し込んで柱の形のまま採るため、深さごとの違いを調べられます。表層の性状だけを多数の地点で知りたい場合は、表層用の採泥器の方が効率的です。
水底面から数十cm〜1mの範囲です。軟らかい泥では長く、砂分の多い地層では短くなる傾向があります。1mより深い地層が必要な場合は、バイブロコアラー(振動で筒を押し込む採泥器)などをご提案します。
礫や岩盤、よく締まった砂の水底は、筒が刺さりにくく、ピストンコアラーには向きません。既往の資料や現地確認で底質の見込みを伺い、適した採泥方法を選びます。
採泥から試料の観察・記録までは当社で行います。必要な分析項目をお知らせいただければ、対応方法をご案内します。
主に、採泥地点の数、現場までの移動距離、搬入・投入の条件、分析の項目で決まります。下の「ご相談時に分かる範囲でお知らせください」の項目をお知らせいただければ、概算をお出しします。
ご相談時に分かる範囲でお知らせください
浅い水域・搬入が難しい水域の採泥を
ご相談ください
対象水域と調査目的をもとに、小型ピストンコアラーの適否と、他の採泥方法との組み合わせをご提案します。既往資料があれば、お問い合わせ時に添付いただくと具体的にご案内できます。